千葉市 船橋市 精神科 心療内科 北林医院分院

うつ病の症状

意欲がなくなり、おっくうで、無理やり家事や仕事をするようになります。何事もおもしろさが感じられず、昔は好んで見たテレビも見なくなります。また昔に比べて頭が働かないような感じで、仕事の能率が落ちるようになります。このため自信がなくなり、不安感が高まるようになります。本来几帳面で完璧主義であるため、思ったように作業ができないことに罪悪感を抱きやすく、自分を責めがちです。何をしても楽しいとは思えず、横になっても気が立っているために居眠りすることもかなわず、始終追われているかのように落ち着かなくなります。いらいらする一方、どうにもならないのは自分の怠けか、精神力が弱いからではないかと考え、人によっては死んだほうが楽なのではないかとさえ、思いつめるようになります。
これは防衛医大の野村総一郎教授の説かれたものです。

夜はあまり眠れなくなり、朝も3時、4時といったとんでもなく早い時間に目が覚めるため、疲れはとれず一日中だるくなり、また食事の味もわからなくなり、仕方がないから口に突っ込んでいる、といった状態になります。こうした状態が昂じると、
※「私が昔中絶したから今こんなにつらいことになるのだ、私の自業自得だ」(罪業妄想)
※「お金がない。このままではどうしようもない。もう死ぬしかない」(貧困妄想)
※「こんなに身体がつらいし、体重が減るところを見ると、私はガンに違いない、もう余命わずかなのだ」(心気妄想)
といった妄想に発展する場合もあります。
あるいはまた、「生きていてもどうしようもないし、生きていることがつらい。死んだほうが楽になるのではないか」と自殺を企てることもあります。

うつ病の原因としては、現在仮説ですが、脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリンやセロトニン)そのものの濃度が低下したり、あるいはこれらの物質の存在を感知する「受容体」がうまく機能しないことにより、全体として脳内の神経伝達物質が欠乏し、鬱状態をきたす、と考えられています。

また何らかの病気の結果、二次的に鬱状態をきたすこともあります。
例)痴呆症の初期、脳血管障害、頭部外傷、パーキンソン病といったほとんどの中枢神経系疾患、甲状腺機能低下症、月経前緊張症、アルコール依存症など

うつ病の経過
うつ病は、発症⇒次第に悪化⇒どん底でしばらく推移⇒徐々に回復、という流れをとります。(これを病相といいます)
うつ病の1回の病相の長さは、数週間から年余に渡るものまで非常に個人差が大きいのですが、おおむね3ヶ月から9ヶ月といえます。なお経過中、中途半端に服薬を中止すると再発の可能性が約70%以上と言われています。

左から右へ向かって徐々に軽快の方向をたどります。順番は必ずしもこのとおりではありません。 化学伝達物質の不足によりこれらの症状が出現するのですが、言い換えると、化学伝達物質を薬物療法により補給できれば、病状は軽快する、といえます。

治療は薬物療法と安静、休養の確保の二本立てとなります。

たいていの患者さんも、またその家族も、鬱状態になったのは過労のせいだとか、頑張りがたりないからだと考えがちです。そのため「薬に頼るのはよくない」「カウンセリングでなんとかしてほしい」などと訴えがちです。しかし、うつ病の原因について思い出してください。脳内の化学伝達物質の濃度の問題に過ぎないのです。
抗鬱剤はうつ病の原因仮説でのべた状況に対し正反対に作用します。すなわち神経伝達物質の濃度を上げたり、あるいは受容体の感受性を変化させることで、抑うつ状態を改善させる、と考えられています。
ところで抗鬱剤は、その効果が出現するまでに約5日から14日ほどかかります。この点は忘れずにいてください。
ともあれ抗鬱剤はうつ病のすべての症状に対し有効です。また前述したようにうつ病はある一定期間で必ず回復するものですから、いずれ服薬も必要なくなります。したがって、「薬をやめられなくなるのではないか」といった心配は無用です。

こうした薬物療法を補強する上で大事なことは、安静、休息、睡眠の確保です。学校や仕事を1週間でも10日でも休めれば理想的ですが、そうでなくとも作業量を減らすことが必要です。眠くなくとも横になって体力の温存を図ってください。極端な話、入院したつもりで自宅でひっくりかえって何もしないことが、結局は早道なのです。家事も手抜きの嵐で結構、それこそ掃除機は「丸くかける」ような状態こそが望ましいのです。「私の性格が許さない」とどの患者さんも言われるのですが、回復したら好きなだけ仕事なり家事をしていただいて構いません。またご家族が心配して気分転換にどこぞへ連れ出そうとすることもありますが、病初期は疲れるだけでかえって逆効果になることが多いものです。病気の期間は「休むのが仕事」です。

手抜き家事の薦め女性ホルモンと病気、についても是非ご一読ください。